カジノの候補地が絞られる

IR

一時はIRに関する関連法令が可決、施行されこのまま突き進むかに見られていた日本のカジノでしたが、様々な事情から暗礁に乗り上げようとしていました。
海外からの観光客のインバウンド需要が大幅に低下する中、当初は日本国内への進出を表明していた欧米の大手カジノ企業が撤退する動きが相次ぎ、このまま終わってしまうのかと思われていました。
しかし、ここに来て大きく流れが変わろうとしており、日本でのカジノのオープンに現実味を帯びてきたのも確かです。

検討しなおすことを表明する自治体が相次いだ

最盛期には日本国内を東北と北海道、関東、関西、九州の5つのブロックに分け、最低でも3箇所、多ければ5箇所程度の用地の確保を目指す中で少なくとも8つ以上の市町村が候補に名乗りをあげていました。
しかし、パートナー企業の撤退、スタートアップに必要な財政の面から計画の凍結や、再度ゼロベースから検討しなおすことを表明する自治体が相次ぎました。
そんな中で現在でも計画の遂行を続けているのが大阪と長崎で、今後の動向に注目が集まっています。
両都市に共通しているのが欧米系の企業が撤退する中で、国内企業とパイプを持っているアジア系の関連企業とのタイアップをしたり、将来的には合弁会社を設立するなどの計画が立てられました。

大阪では夢洲が候補地

大阪では夢洲が候補地となっており、関西の一大観光地を目指しています。
夢洲は1980年代にテクノポート大阪計画のために作られた人工島で、当初はロジスティクスセンターとして物流倉庫やコンテナターミナルが作られる予定でしたが、その完成を待たずしてカジノ構想の用地として浮上しました。
現在は埋め立て工事が進められており、さらに面積を広げて港湾構想の中核とする動きです。
ここで問題となっているのが地盤の問題で、そのままで高層ビルなどを建築すれば地盤が沈下したり液状化現象が発生する可能性が指摘され、地場改良工事が必要なことが判明しました。
誘致を予定していた企業との間では、このような工事が必要になった場合には大阪が支払う契約となっており、数百億と言われている負担が懸念されています。
また、誘致された企業はそこで業務を続けるか、撤退するのかは自由に選択することができ、初期投資を大阪で負担した結果、撤退されたとなれば無駄な出費となるのも懸念材料です。

初期投資を含めて採算ベースに乗るまでに数十年かかる試算も・・・

また、陸路では夢洲トンネルがありますが、埠頭は物流のために作られたもので、観光船や豪華客船などが出入りするとなれば改修するか新規に用意する必要もあります。
いずれにしても、これから初期投資をする要素が多いのがポイントです。
これらの問題を乗り越えて成功をおさめるためには、オープン後には海外からのインバウンド需要が大きく回復したり、日本国民の需要も大きな鍵を握っています。
また、大阪の試算では初期投資を含めて採算ベースに乗るまでに数十年かかるという試算も出されており、前途は多難です。
日本国民向けにもサービスを展開するとなるとギャンブル依存症が気になるところですが、対策も関連法令に含まれており、本人または家族が一定回数以上の入場を止めることも可能で健全な運営を目指しています。

長崎ではハウステンボス周辺に立地計画を立てる

一方、長崎では世界的に有名な観光施設のハウステンボス周辺に立地計画を立てており、さらなる起爆剤としたい目論見です。
日本最大級のテーマパークで、その名称はオランダのハウステンボス王宮に由来しており異国情緒を楽しめ、行楽シーズンには国内外からの観光客が訪れている人気スポットで、インバウンド需要さえ回復すれば業績もアップすること間違いありませんが、そこへIR施設が加われば大きな訴求力となります。
IRのオープンにはカジノのほかホテル、レストランやバー、会議室や展示場、イベントホールなど総合的な施設を用意しますが、ハウステンボスの周辺には既にそれらの施設が存在するため、新規に建築する施設が少なく済むのも強みです。
ハウステンボスの土地は元々は広大な水田が広がっており、運河も流れていました。
同施設の建設時に大規模な地盤改良工事が実施されましたが、自然に近い形を目指し数十万本の樹木や花を植えて、どこまでも続く緑が溢れています。
そのため現時点で地盤改良などの問題も無く、最も現実的な候補地という声が高まりました。
施設内には従来型の入場料を支払って楽しむエリアの他にもフリーゾーンが設けられて無料で入場が可能なほか、企業に開放したことから様々なアイデアを凝らしたショップやホテルがオープンしています。
そんなハウステンボスに、さらにIR施設が加わり大きな飛躍を遂げようとしています。

まとめ

紆余曲折を経て歩んで来た日本のカジノですが、いよいよ候補地がこの大阪と長崎に絞られてきました。
このまま順調に進むのか、それともまた新たな問題が浮上するのか現時点では不透明ですが、日本国内でのサービス解禁が見えかけているところです。
多くのファンがインバウンドにより世界中から訪れ、笑顔で溢れる日までそう遠くない現状と言えます。

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